〈判例〉症候性てんかん


【裁判例から】名古屋地裁 平成24年(行ウ)第52号 障害年金不支給取消等請求事件

認定日による請求」(認定日に受給権が発生しない場合は、事後重症による請求)を請求事由として障害基礎年金の裁定請求をしましたが、認定日は提出した診断書から当時の詳細な状況が不明であるため判定することができない、事後はてんかん性の発作の頻度は月に1~2回であり、日常生活能力の判定からも日常生活に著しい制限を加えることを必要とするまでの症状は認められないことを理由として、H22年9月に不支給決定を受け、審査請求および再審査請求を経て提訴。

(提出した診断書の内容)
認定日(H13年6月18日現症)
ア  病状又は状態像…てんかん発作、月に1回程度、大発作の出現を認める
ウ2 日常生活能力の判定…空欄
ウ3 日常生活能力の程度…空欄

事後(H22年3月12日現症)
ア  病状又は状態像…てんかん発作(月平均1-2回)意識消失発作、全身けいれん(月1-2回)
ウ2 日常生活能力の判定…「自発的にできるが援助が必要」または「概ねできるが援助が必要」
ウ3 日常生活能力の程度…(3)
予後…症状改善の見込み低いと思われる

【争点】

2級16号「日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」に達していると認められるか。

【判決】

障害基礎年金を支給しない旨の処分を取り消す。

社労士簡野のコメント】

原告は、訴訟中に再度(H24年2月)事後重症請求を提出し、2級16号に支給決定されました。

認定日(H13年6月)当時の発作頻度は記入されているものの裏面ほぼ白紙状態の診断書で認められました。発作頻度は認定基準を満たしており、日常生活の制限については診療録や介助に当たっていた実母の証言等により、等級に該当するとの裁判所の判断です。

「診断書によらなくとも、障害の状態が判断できれば…」との文言を他の訴訟の判決文で目にしたことがありますが、行政手続き(裁定請求・審査請求・再審査請求)においては判断できないと思いますので、不支給に納得できなければ提訴になります。